第9章 僕の好きな人は……
裕斗side
目の前で恋人が告白されていた。
何で早く断らねぇんだよ。
迷ってんじゃねぇ。
断って欲しかった。
俺はまだ瑞希とはやり直せる、そう思っていた。
けど、瑞希は何も声をかけてくる事なく、それに加え、告白も断らなかった。
もしかしたら瑞希は俺の事はもう見えてないのかもしれない。
恋人という枠には入れないのか。
「お疲れ様ー♪……ねぇ、裕斗君。ちょっと話があるんだけど……家で飲まない?」
「……すみません……飲まない約束なんで。」
「ふーん……それって瑞希君との?」
五十嵐の声が変わった。
何でもお見通しだって目をしている。
「……うちに来なよ。話そう。」
断らざるをえなかった。
もし、ここで頷いてなければ俺らの関係がバラされるかもしれなかった。
帰りはタクシーを呼ぶからと言われた。
「さ、入って。」
家の中は片付いていて、余計な物がない感じだ。