第2章 命の価値
「・・・・ん、」
重い身体を起こしまだぼやける視界に手探りで時計を探す
カーテンの隙間から陽の光が漏れ薄暗い部屋の一部を明るく照らした
「もうこんな時間か。」
ベッドから降りて窓を開ける
陽は傾きほんのりオレンジ色に染まる空
埃っぽい部屋に新鮮な空気がブワッと舞い込みまた一日が始まるのかと複雑な気持ちで空を眺めた
自由に空を飛ぶ小鳥達
自分もあんな風に自由に空を飛べたらなぁ…
少女は棚から少し大きめの袋を取り出した
中にはかなりの札束が入っている
「あと少し…
わたしは絶対ここから出て必ずまたあの人に会う。」
少女は自分に言い聞かせるように言うと
ぎゅっと大切そうに袋を握り締め目を閉じた
そしてまた元の場所へとそっと戻す
ここは売春宿
宿の二階は寮になっており
この店に勤める身寄りのない娼婦達はここに住んでいる
そしてこのという少女、
彼女もここで働く娼婦で、この寮に住んでいるのだった