第7章 途切れた記憶
自分には本当に親がいたのだろうか
一緒に過ごした思い出も顔すらも思い出せない
どんな家庭で育ち、どんな風に愛してもらったんだろう
いや、愛されていなかったのかも知れない
孤独…
絶望……
それを唯一埋める事が出来たのがこの仕事だけ
求められる。それだけで生きていてもいいと安心出来たのだ
でも仕事を終えてシャワーを浴びながらいつも思った
数え切れないほどの男と肌を重ねたこの身体…
汚い。醜い。。
幸せとは何か
生きる喜びとはどういうものか
まるで心と身体が別物のような感覚
「…………」
眠れないは何度も寝返りをうつ
ーズキンッ
(…まただ、背中が痛い)
布団を深く被り苦痛に顔を顰めてその痛みに耐えた
(この痛みと途切れ記憶には何か意味があるのかな)
必ずと言っていいほど
両親の事や幼い頃を思い出そうとしたときに痛み疼く
「…エースに会いたい。」
痛みに耐えて絞り出した言葉
は少し考えてある決断をする
明日の朝ローと共にこの島を出よう
そしてタイミングを見計らって逃げ出して
自分はエースを探す
こんなチャンスは二度と無いかも知れない
ローには申し訳ないが
やはり利用するしか他には無かった
次第に弱まる痛みと共には眠りに落ちた