第1章 空虚感
遠い昔…
特別な力を持つ一族がいました
その能力とは
あらゆる怪我や病を治し
1度だけ死んだ人間を生き返らせる事が出来る。
というものです
見かけは普通の人間ですが満月の夜になると背中に小さな白い翼が生えるそうでその美しい姿に人々は
『人の姿をした天使』と呼び崇められた存在でした
当時、医学が全く発展しておらず
病にかかれば死を覚悟しなければならない時代…
人々にとってまさに救いの天使となった一族達は病を治したお礼に人々から沢山の食料を分け与えられお互い共存して暮らしていました
しかし、その噂を聞きつけた一部の人間がその能力を欲して争い始めたのです
いろんな手を使いその蘇生の力を引き出そうと試みますが、力はその一族が自ら治したいと願わない限り発動されません
それを知らない無知な人々はその一族の力は嘘だと言い
騙されたと勘違いし命を奪ってしまいました
かつては病に苦しむ人々を救いあれだけ感謝され崇められた存在だったはずの一族なのに心無い一部の人間達のせいでいつしか人々から恨まれ嘘つきだと罵られその存在すら否定されてしまうようになり一族存続の危機に陥ってしまったのです
一族の長は言いました
「これ以上この一族の血を絶やしてはいけない。」
そして全ての責任をその背中に背負い
自らの命と引き換えに残った一族を救いこの世を去りました
残った一族の行方は誰も知りません
それから時は過ぎ、、、
いつしか人々はその一族の存在を忘れていきました…