第4章 最終章
ーー初めて君の声を聞いたあの日、
俺は何故かはわからないけど、泣いてしまった。
それはもう引くほど。
そんな俺を見て、君は笑いながら
「返事がないと寂しいです」
なんて涙を流しておどけていた。
「俺も、好きだよ、愛してる」
そう彼女に言うと、
今まで見た中で1番幸せそうな顔をした。
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「ー壮馬くん」
「んー」
「壮馬くん、もう起きないと」
「……はっ!!!……夢…?」
優しく、暖かみのある声に起こされ、
俺は勢いよく起き上がった。
すると君は、くすくすと笑い、
「寝ぼけてる?」
とリビングへ向かった。
俺の部屋だけど、俺だけの部屋じゃなくなった部屋。
壁には、色彩豊かな絵が飾られてある。
少し経つと、朝ごはんの匂いがしてきた。
それにつられるようにリビングへ向かう。
「壮馬くん、今日は何時に帰って来れる?」
「んー、5時とか6時とかかな」
「うん、わかった!」
ルンルンとした気分でエプロンを外す姿がなんとも可愛らしい。
「いただきます」
と、俺と優愛の声が交わる。
さっき見た夢のせいか、こんな些細なことで幸せを感じる。
「…さっき、夢みたんだ」
「夢?」
きょとん、と俺を見る目はあの時と変わっていない。
「優愛が、声を出した日の夢」
俺がそう言うと、彼女も懐かしむように柔らかく微笑んだ。