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透明な声に、色彩を

第3章 第2話


『壮馬くん…』

「ん?」

『私、本当にお邪魔しても良かったのでしょうか…』

「んー、大丈夫じゃない?ね、なっちゃん」

「うん、全然大丈夫だよー」


あれから、季節は梅雨の時期、6月になった。
壮馬くんとは何事もなく、たまに会って2人でのんびりしてるだけだった。
何かしらしようと思ったけれど、自分が弱虫なせいで何の発展もありません…。


そして今。
壮馬くんに呼ばれて花江さんのお家に来ています。

なぜ……


『私、何をしていれば…』

「ああ、眺めてるだけでいいよー」

着々とマイクやら何やらを出して何かの準備をし始める花江さんにそう言われ、とりあえず近くのソファに腰掛けた。


私は何故ここに…


「ごめんね、俺が急に会いたくなったから」

まるで私の心を見透かしたように私の隣に腰掛けてそう言った壮馬くん。

“嬉しいです”

素直に思ったことを口で動かすと、何故か壮馬くんはフイと顔を逸らしてしまった。

「???」

何かしてしまったかと思い、壮馬くんに手を伸ばす。


「壮馬ー、準備できたよー」
「あ、うん」

壮馬くんは私を見ずに花江さんの方へ行ってしまった。


もやもや。


胸の奥に不安な色が固まる。


「ッ、」


さっきも、声が出てれば…
壮馬くんはこっちを振り向いたのかな…


もやもやとしていると、2人はイヤホンをしてコントローラーを持ち始めた。

そして、



「えー、みなさん、こんばんは。声優の花江夏樹です。」


花江さんが着々と準備をしていた「何か」が始まった。


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