第6章 陽だまりの差す場所
ありがとなって笑顔になって、
ごめんなってしゅんとして。
気さくそうな人だとは思っていたけど
こんなにも見せる表情が多い人だから、
いい意味でわかりやすい。
話せば話すほど、いろんな面が見れて楽しい。
あれから何度も本を教えあって、
感想を言い合って。
時折、彼の部活の事とかも話すようになって、
私は色んなことに興味を持つようになった。
菅「明日から、ここに来れなくなるんだよね」
「考査終わると部活で忙しくなるもんね。
頑張ってね」
菅「うん、大事な大会があるんだ。
絶対勝って、全国に行くんだ」
決意した顔はとても綺麗で、心の底から応援したいと思った。
「1回でいいから、菅原くんのバレーしてる所見てみたいな」
菅「練習見に来る?って言いたい所だけど、
ちゃん来たら多分緊張しちゃうかも。
来て欲しくないわけでもないんだけど、恥ずかしいっていうか、なんていうか…」
頭を抱え込むようにして机に突っ伏す。
菅「……好きな人の前じゃかっこよく居たいじゃん?」
頭を少しだけあげて、こちらを少しだけ見る。
当の私はどんな反応をしたらいいのかわからず、
目が合ってすぐに逸らしてしまう。
ちょっとだけ間が空いてから
菅「あー、ごめん!困らせたかったわけじゃなくて
今のはちょっと口が滑ったというか、
正式な告白とかなんかじゃなくて、思ったことが出ちゃったっていうか…」
そんなに嫌じゃない私がいて、
むしろこういう時間を共有出来る事が毎日楽しみで。
だけど否定しなきゃ、と思うほど
口が動くだけで言葉が出てこない。
菅「、ごめんな。
もうちょっとしたらちゃんと言うから」
2回目がある、という事に安堵してしまう自分は
どうしたらいいんだろう。
だけど今なら、どうしても読んでもわからなかった恋愛小説がちょっとだけわかる気がする。
「分かった、待ってる」
少しだけ驚いたように目を開く彼の目を見て
少しだけ笑ってみせる。
私もこの言葉が出てくるなんて思ってなかったから
それを悟らせないように。
おう!って笑って返してくれる彼の事が私はきっと好きなんだろう。