第6章 陽だまりの差す場所
「こんにちは」
そこに着くと、もう既に白くフワフワした髪の毛に、
涙ボクロのある優しそうな好青年という表現がピッタリの男の人が座っていた。
あれ?うちの制服だ。
何かで顔を見たことがある。
全校朝会で、前に出て話してたこともあったような……。
立ち尽くす私を見て
読みかけの本に栞を挟み、もう1度ニコリと笑いかける。
「はじめまして、三年の菅原孝支です。
君も烏野だよね?」
「はじめまして、 です。
ということは菅原さんも烏野ですか?」
菅「うん、そう。
制服同じだなぁって思って!」
「まさか、同じ学校の同級生だなんて思ってなかったから
少しビックリしてます」
うんうん、と頷いて笑っている。
菅「あ、改めて言うけど、この前本紹介してくれてありがとう。
すごく面白くて、一気に読んじゃったよ」
「好みにあってよかったです。
私、中盤の犯人の描写すごく好きなんですよね」
菅「スタンダードなやり方なのに、
なんか違う感じした。
どの小説にも出てきそうな方法なのに
ああいう風にかけるって凄いって思ったよ」
わかる人がいた、という事だけですごく嬉しくて。
菅「あと、あの海のシーン!
臨場感が凄くて映画見てるみたいだったよ」
「すっごいわかります!
細かい描写が多いから場面が想像しやすいっていうのもこの作品の面白い所ですよね!」
菅「うんうん。それなのにくどくないんだよね」
同じように共感してくれるし、
自分と違う味方受け取り方を知れるから人と話すのはすごく面白い。