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ハイキュー!! 秋祭りバトン!

第1章 明日も笑おう





いつの間にか、俺は寝ていたようだ。
顔をあげるとと、部屋は真っ暗で月明かりが差し込んでいる。
淡い光だけがピアノの部屋を照らしている。

その中で音が響いている。
ピアノの音が部屋中に……。

この音楽はなんだろう。
知らない曲だ。

ゆったりとしたスピード。
だけど力強さもある。
綺麗な音色。
映像美が頭の中に流れる。

赤と黄色。
まるで風に吹かれ空へ舞う紅葉。

月明かりに照らされ、長い髪を揺らしながら激しく情熱的にピアノを弾くさん。
音から流れ込んでくる感情は、怒りと寂しさ。
これが彼女のピアノだとしたら、こんなにも悲しいことはない。

「さん」
「起こしちゃった、ごめんね」
「いえ……」
「日が落ちるの早くなったね。家の人が心配するよ。帰りなさい」
「俺、ピアノなんて弾けないけど……」
「ん?」
「何も知らない俺が言うのもあれだけど、俺はさんが弾きたいように弾けばいいと思うんです。なんか、さんのピアノには感情があって……。俺、こうしてさんと話してるけど、ピアノ聴いている時の方が、あなたの気持ちが伝わってきます」

彼女と言葉で話しても、全然通じ合えていない。
それは薄々気が付いていた。
一歩引かれているような。
それがとても寂しい。

「俺、さんが好きです。初めて人を好きになりました」
「……茂庭君は、優しい子ね」
「え……?」
「そうやって自分の素直な気持ちを相手に伝えることができるの羨ましい」

さんは言った。
いつからか自分は自分の気持ちを相手に伝えることができなくなったと。
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