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ハイキュー!! 秋祭りバトン!

第1章 明日も笑おう





彼女の胸の内が知りたい。
帰り道、ずっと考えていた。

音に感情を乗せて弾く彼女のピアノは美しく寂しい。
何がそんなに彼女を苦しめているのか。
それはわからないけれど、あの涙は彼女の本音だ。

俺は、何も知らないんだ。




その日は日曜日で、昼過ぎから彼女の家へと行った。
外は秋晴れで緑の景色は赤や黄色へと移り変わっていた。

「すっかり秋になりましたね」
「そうだね。君がここにきて2ヶ月になるのかな」
「そうですね。今日でちょうど2ヶ月です」
「毎日来なくてもいいのに」
「さんが好きだから」
「……なにかリクエストはあるかい?」

俺の告白は随分前にはぐらかされた。
初めて告白したときは、緊張と不安で押しつぶされそうで勇気を出したが、即答で無理だと言われた。
その時のショックは今でも心の奥に根付いている。
だけど、諦められなかった。

次の日、彼女の家に行くと驚いたように俺を見ていた。
もう来ないと思ったらしい。
俺もできるならそうしたかった。
でもできなかったのはやっぱり彼女が好きだし、彼女の弾くピアノを聴いていたいから。

それからことあるごとに彼女に思いを告げているが、いまのようにはぐらかされる始末。
それでも彼女は俺を追い出そうとしないし、こうしてまたピアノを弾いてくれる。

……俺は彼女の優しさに甘えて付け込んでいる寄生獣だ。

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