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ハイキュー!! 秋祭りバトン!

第4章 カーテンコールのその先は






衝撃で目を覚ました。
すでに日は昇っている。
いつもより少し早い目覚め。
私の全身は汗で濡れていた。

嘘でしょう。
夢とはいえ、研磨にキスをされるなんて。

これ以上研磨を近づけさせてはいけない。
傷つけしまう前に、何とかしなければ。









学校へ行くと、すぐに公演の準備に取り掛かる。
なんであの夢を見てしまったのか。
最後のリハーサルだと言うのに、今朝見た夢が私の邪魔をする。
真っ赤な幕を見る度にキスを思い出す。

もうすぐしたら公演が始まる。
そうすると研磨が見に来る。
今はあの子の顔を見たくない。

現実世界はとても残酷で、時間は容赦なく過ぎていく。
30分の休憩が終わったら、演劇部の出番。

そして体育館が暗くなり、ステージに明かりがついた。
後輩たちがステージ上に立ちセリフを言う。
声も聞こえる。
音もある。

私は大きく息を吸って、暴れる心臓を落ち着かせた。
幕が開いてから約15分。
やっと私が幕から姿を現す。
煌びやかな衣装を身に纏いセリフを吐き出す。

「実の兄だろうと関係ないわ。私はお兄様を愛しています!」

震える声で私は叫ぶ。
実の兄に恋をした妹。
禁断の愛。
私たちの恋は禁断ではないけれど、決して結ばれてはいけない。
今更になって自分のセリフが胸に刺さる。

「私を引き裂いて私の魂をみてください。そこに私の本当があります!」

泣き出したくなった。
たとえセリフだとしても、研磨に聞いてほしくなかった。
昨日の夢のせいだ。
研磨の気持ちが痛いほど伝わってくる。

研磨の気持ち。
研磨の本音。
こんなに私を想っていたなんて。

幕が閉じて体育館に通常の明かりが照らし出す。
拍手喝采だった。
泣いている人もいた。
私も袖幕で涙を流した。

研磨の本当が分かったけど、でもそれでもやっぱり私はあの子の気持ちには応えられない。
それがあの子を深く傷つけたとしても。

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