第4章 カーテンコールのその先は
明後日は音駒高校の文化祭。
そして私の誕生日。
毎年毎年もらう誕生日プレゼントは、大切にもらっている。
「ありがとう」と笑って。
だけど研磨は知らない。
研磨がくれる誕生日プレゼントは全部クロとかぶっている。
ぬいぐるみ、ネックレス、ピアス……。
デザインや色は違うけれど、同じなのだ。
それを大切にしまっている。
ネックレスやピアスとかのアクセサリーはクロとデートするときだけ。
それ以外ではつけない。
そうでもしないと研磨を傷つけてしまうから。
頭の中でぼぅっとそんなことを考えていると、目の前に金髪の男がいた。
私は速足で彼に近づく。
色々思うところはあるけれど、それでもやはりかわいい幼馴染。
「けーんま」
後ろから抱き着いて、頭を撫でる。
嫌がる素振りを見せる研磨。
研磨、あんた一向に演技がうまくならないね。
あんたが私のことを好きになってから、あんたは自分の気持ちに嘘をついている。
きっとクロと付き合っているっていうのもあるからだよね。
「クロに怒られるよ」
「そんくらいで怒りはしないよ」
そんなことを言っているけど、ただの口先だけ。
本当は今すぐこの場所から逃げたいから、言っているだけでしょう。
巻きつけた腕を優しく離してやる。
私をみる研磨に向かって口元を緩めた。
ああ……。
研磨、あんたって子は本当にいつまで経っても演技が下手くそね。
「明日の公演見にくるでしょ?」
「うん。出てるし」
「最前列より少し後ろがおすすめだよ!」
そう言って私は廊下を走った。
少し離れた場所からもう一度研磨の名前を呼ぶ。
私に背中を向けていた彼はゆっくり振り向く。
彼に届くように大きな声で口を開く。
「けんまー!!何か悩み事あったら言いなよ!!幼馴染なんだから隠し事、なしだかんねー!!!」
なんてひどい言葉なんだろう。
彼が何で悩んでいるかなんて私が一番知っているのに。
全部わかったうえでこんなことを言っている私はなんて卑怯。