第4章 カーテンコールのその先は
【カーテンコールのその先は】~Another Story~
あの子はきっと私のことが好きなんだと思う。
ずっと一緒にいた、小さい頃から。
所謂、幼馴染。
いつからか、彼の気持ちに気が付いた。
もうずっと前から知っている、その気持ち。
だけど、確かめる勇気なんてなくて、
それ以上の関係なんて望んでなくて、
ただ、幼馴染のままでいられればよくて、
そうであってほしかったのに。
私と彼は幼馴染であっちは「姉ちゃん」なんて呼んで慕っていて。
まさか私のことを好きになるなんて思っていなかったから。
それに私はクロと付き合っていたから。
焦った。
どうしようと思った。
クロと付き合っていることを知られてはいけないと思った。
けど、勘のいいあの子のことだから言わなくてもわかっていたと思う。
もしあの子に告白をされたら私は彼の想いを断らなければならない。
だけど、あの子を傷つける事だけは嫌だ。
研磨が傷つかない優しい世界。
だから私は彼の気持ちに気づかないフリをした。
演じたのだ。
何も知らない私。
研磨が望む私。
私が望む私。
全てを演じた。
私は役者だから。
それくらいできて当然とばかりに、理想の自分を演じたのだ。