第4章 カーテンコールのその先は
衝撃で目を覚ました。
すでに日は昇っている。
いつもより少し早い目覚め。
俺の全身は汗で濡れていた。
ありえないでしょ。
幼馴染で同じ部活の部長の彼女にキスをするなんて。
は俺のことを弟みたいにしか思っていない。
それ以上のことなんて……。
クロだって俺のことを信用してる。
そんな俺が、彼らの思いを裏切っているなんて知られてしまったら、どれほど傷つくだろう。
傷つけてしまうだろう。
俺の気持ち、彼らに悟られてはいけない。
隠さなきゃいけない。
俺は俺の気持ちに嘘をついた。
そうすることで彼らを守っていたし、自分の心も守ることができた。
学校へ行くと、すでに賑やかな声が溢れていた。
片手に持った袋を持ち直し、学校の門をくぐる。
今日の放課後にでも渡そう。
文化祭で盛り上がっている間、誕生日プレゼントは部室のロッカーの中で待機してもらった。
淡々と進む文化祭。
ステージでやってるタイムテーブルも順調みたいで、時間通りなら演劇部の公演は休憩を挟んだ30分後。
俺は彼女が言っていた後ろの席へ腰を下ろす。
その隣にはクロが座る。
「よぉ」
「出店いいの?」
「リエーフと夜久に任せてきた」
白い歯を見せて少し頬を赤らめるクロ。
幸せそうだ。
モヤっとした気持ちを抱きながら俺は公演が始まるのを待った。