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ハイキュー!! 秋祭りバトン!

第3章 流麗な夢をキミと


鏡がないから、蝶ネクタイとかヘアメイクの手直しは全て清水がサッと直してくれた。

「よし、間に合った。大地、オレは渡り廊下でお嬢様を待つから、中のことはみんな頼むよ!」

「「 ッス!! 」」

後ろ手に体育館のドアを閉め、ちゃんとさっき別れた場所まで急ぐ。

まだ、来てないみたいだ。

大きく深く深呼吸して、背筋をピンと伸ばし、ちゃんに教わった執事の立ち姿で待つ。

時折吹く秋風がイタズラにオレの髪を撫でては流れていく気持ちのよさに、そっと目を閉じてみたりする。

『あれ?スガさん?!・・・どうして?』

目を開ければ、そこにはオレの姿に戸惑いを隠せないちゃんが立っていて・・・

「お帰りなさいませ、お嬢様。お待ちしておりました・・・」

そっと微笑みを浮かべ、軽やかに腰を折った。

『え?だってさっきまで普通に制服で・・・えぇっ?!ど、どうしたんですかスガさん?!それにその格好・・・』

戸惑うのも最初から分かってたから、特にオレも動じない素振りをする。

「さぁ、参りましょう。皆がお嬢様のお帰りを待ち侘びておりますよ?」

『お嬢様って・・・執事カフェはとっくに終わってるのに?』

「お手をどうぞ、お嬢様。本日はこの菅原がお嬢様をご案内致します」

清水から渡された手袋をした手を、当たり前の様にスっと差し出す。

・・・何で白い手袋?と聞いたら。

清「使用人が身分が高いお方に直接触れてはいけないからよ」

と、言っていたから。

もしかして清水も、何気に執事とかに憧れているんじゃないか?と思って聞いたけど。

速攻、違う、と否定されてしまった。

「お嬢様?」

なかなか手を出して来ないちゃんに呼びかけると、恥ずかしそうにしながら迷っているようだった。

「お嬢様、どうかお手を。それとも、この菅原のご案内ではお気に召しませんか?」

『そういう訳じゃ・・・』

「ならば、どうぞ?」

『・・・はい』

小さな手を支えながら、ゆっくりと渡り廊下を進む。

その間、何度もちゃんがオレを見ていたけど、執事のオレは気付かないフリをした。

あくまでも優雅に。

歩く時も、足音を立てずに。

そして姿勢正しく。

これはちゃんが、一生懸命オレ達に教えてくれた事だから。

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