第3章 流麗な夢をキミと
旭「よくこんな事を思いついたな、スガ」
いそいそと体育館で準備をしながら旭が言うと、大地や清水も頷いた。
「思いついたって言うかさ、ちゃんが自分も体験してみたかったって笑ってて。だったら今日の頑張り賞をって大地に相談したんだよ」
澤「俺もスガに話を振られた時は、なるほどって思ったけど。それよりみんながこうやって賛成してくれてよかったよ」
月「別に僕は賛成とか・・・」
「まぁ、そう言うなって月島。自分だって執事カフェ営業中は笑顔で対応してたじゃないか」
月「でも、打ち上げやるから買い物行ってこいっていうメンバー。あのメンツでよかったんですか?」
そう。
大地がちゃんに、打ち上げやるからお菓子とかケーキとか、なんかそういうものを買ってきてって頼んで。
持ちきれないだろうからって山口と縁下をつけたんだよね。
澤「山口と縁下の事か?いいんだよ、あの二人の方が。山口だけなら何か怪しまれたらオロオロしそうだけど、そこに縁下をつけとけばフォローが入るからね」
「そうそう、それにさ?日向とか影山とか、あとは田中とか行かせたらバレちゃうし。ケーキも崩れちゃいそうだからね」
さっきまでの教室とは全然雰囲気が違うけど・・・
それでも、少しの間だけは夢の時間を。
そう決めて、誰より執事に憧れを抱いていたちゃんに夢を見てほしいから。
その考えにみんなが乗ってくれて、いま、こうして準備をしてる。
清「菅原、こんな感じでどう?ありあわせの材料しかないから、結構頑張ってみたけど」
そう言って清水が手作りの一輪の花をオレ達に向けた。
旭「凄いな清水・・・」
澤「清水の手先が器用で助かったよ」
「ホントに凄いよ清水・・・まさかペーパーナプキンや竹ひごから出来てるとは思えない完成度じゃん!」
清「そう、ありがとう」
清水から手渡されたのは、今日オレ達がお嬢様方に配っていた白いバラをモチーフにした物。
相談した時に清水が、それなら花もいるわねって言って、簡単なものでよければと丁寧に作ってくた・・・真っ白な花。
この花を差し出したら、ちゃんはどんな顔をするだろうか。
澤「スガ、縁下からLINEが来た。そろそろここへ着くって」
「オッケー大地。じゃ、打ち合わせ通り・・・みんな配置につこう」