第3章 流麗な夢をキミと
言いながら月島が振り返る方に目をやれば、そこには部屋の端に二人並んで座り込み、見るからにしょぼくれてしまっているちゃんと山口がいた。
「えっ・・・と?どういう?」
状況を確認すべく、怪訝そうな顔の月島に声をかけると更に面倒くさそうな顔を向けられた。
月「閉会式の結果のあと、あんな風に。山口が慰めに行ったけど、結局山口も巻き添い・・・で、それを見た縁下さんがいま声を掛けてるトコ」
・・・わかりやすい説明ありがとう、月島。
澤「スガ、俺達は片付け始めるからそっち頼むな・・・」
「・・・了解」
フッとひとつ息を吐いて、オレはちゃん達の方へと足を向けた。
「縁下、ここはいいから大地の手伝い頼むよ」
縁「あ、はい・・・じゃあ」
2人を相手にしていた縁下が立ち上がり、小さく息を吐いてから大地の指示を受けに行った。
で、オレの仕事は・・・
「ちゃん、それから山口も。結果は2位だったけど、オレ達は誰も責めたりはしやいよ」
『でも、あんなに練習もして貰ったし、今日だって・・・みんな凄く一生懸命にやってくれたのに』
山「オレが、オレが悪いんです。緊張しまくりで、ちゃんと出来なかったから」
・・・山口も重症だな。
「あのさ、こういう考え方は出来ない?1位の吹奏楽部の投票は男女関係なく集まった票だけど、執事カフェは・・・全票お嬢様達の投票だろ?それって凄いじゃん?って」
山「女の子だけの、投票・・・」
ポツリと呟く山口に、オレは笑顔を送った。
「そう。その中には絶対、山口がお世話したお嬢様もいる。もちろん、ここを訪れた人が全員投票してくれた訳じゃないかも知れない。だけど、行ってみたかったなとか、来た人から話を聞いただけで投票してくれた人もいるかも知れない。でもそれはみんな、ちゃんを初めとした全員が頑張った結果なんだ」
山「あ・・・な、なんかオレ・・・今頃嬉しいのが込み上げてきた・・・」
うん、山口は浮上したな?
「じゃ、山口?元気になった所で悪いけど、片付け頼むよ。月島も不機嫌そうにしてるし?」
チラッと月島に目線を送ると、いいタイミングで月島が振り返った。
山「・・・ツッキー」
「な?片付けが面倒で、不機嫌そうだろ?」
山「あ、でもあのツッキーは通常運転のツッキーです」