第2章 My cream puff prince
花「ー。ちょっといい?」
これからお弁当、というタイミングで花巻さんが教室に顔を出す。
「花巻さん?どうかしました?」
パタパタと出入口に向かうと、花巻さん1人のようだ。
花「昼にゴメンな。聞きたい事あって。
この前打ち込みしてたパンフってもう印刷した?」
「いや、まだですよ?
なにか不具合とかありました?」
文化祭まであと1週間を切った所でミスなんかしてたら本当に危ない。
花「そんな顔すんなって。
追加したいページと写真あったから、コレ入れてもらおうと思って」
USBをポンと渡される。
花「急だけど、明後日までに出来る?
印刷して、冊子にするならそれくらい時間欲しくて」
「勿論です。出来次第お渡ししますね」
頼んだ、と頭をポンポンと撫でられて、
頑張らなきゃって改めて感じた。
松川さんが後から来て、花巻さんと購買に行くらしい。
じゃあ、と別れて数十秒。名前を呼ばれて、
もうひとつ渡される。
花「はい。それやるから頑張れよ。
昨日のお礼も今度また返すから」
花巻さんの大好きなシュークリームだ。
ありがとうございます、と頭を下げると満足そうに笑って、松川さんの後を追う。
テキパキしてて、少しだけルーズな先輩が、いつもより可愛らしく見えた。