第2章 My cream puff prince
延長ギリギリまで活動していたら
思ったより仕事が進んだ。
チラリと花巻さんの様子を伺うと、まだ寝ているらしい。
休んでもらえてよかった。
「花巻さん、起きて下さい。
7時半なるので、校門閉まっちゃいますよー」
声をかけたくらいでは起きないのだろうか。
反応が無かったため、肩を揺すり起こす。
花「んっ……??
今何時……?」
言動はゆったりとしているが起きた事には起きたらしい。
「おはようございます。
7時半なりますよ。門が閉まっちゃうので、帰りましょう」
花「マジで?ごめん、ずっと寝てた」
ゆっくりと身支度を始めながら、すまなそうにこちらを見る。
「全然大丈夫ですよ。
そんなに大変じゃなかったし、難しいものもなかったので。
あ、さっきポスター、届きましたよ」
花「そっか、ありがと。
今度なんかお礼さしてよ」
「いやいや!大丈夫ですって!
花巻さん最近忙しそうだったし、
さっきも言った通り、倒れちゃったら大変だと思ったから。
お節介みたいなものなんで、気にしないでください」
ね?と念を押しても、先程同様渋っているみたいだ。
「と、取り敢えず帰りましょう!」
おう、と短く返事をして、鞄をとる。
いつもと同じ帰り道。
いつもと同じ風景。
だけど一個だけ違うのは、いつもの分かれ道でサヨナラしない事。
花「暗いから、家まで送ってく。
最近変なのも出るみたいだし、夜に女子一人帰らせるとか、なんか変だし、な」
大丈夫、と言いたいところだが、そんなふうに言われると断りづらい。
私が言葉を探しているのが伝わったのか彼は私の手を掴み、いつもの帰り道を歩き出す。
花「寒いし、いいだろ?」
ポカポカした手の平をポッケに突っ込んで離さない。
「はい、ありがとうございます」
いつもと同じ帰り道。
同じくくだらない話をして、私達は家路につく。