第1章 furachi なふたり/幸村
「覗いていないで、入ったらどうだ」
「バレてた」
「バレてたね」
「さすが真田くん」
「ほう、精市とはこじゃないか」
「柳くん、真田くんを和室に誘っていたのね」
「ふたりで書を嗜んでいたとは。ここは墨汁の香りが落ち着く空間だな…」
「わたしたち邪魔しないように教室にもどろうかと話してたんだけど…いいの?」
「構わん」
「よかったら入るといい。それにしても幸村とはこが並べば、とても平和な雰囲気だな」
「そうかな」
「真田くんは逆に少年マンガそのものみたいね」
「どういうことだ?!」
「バトルもののようなかっこよさがあるということだとおもうぞ、弦一郎」
「わかるのか蓮二」
「柳くんも少年マンガみたいよ!」
「ありがとう」
「誉めているのか」
「はこ、おまえはつぎに『柳くんってジョセフ・ジョースターみたいだから』という」
「柳くんってジョセフ・ジョースターみたいだから! …ハッ?!」
「おお…」
「相手のセリフをまるごと予測してしまうほどの察しのよさなど、おまえとジョセフくらいだな」
「ところで俺、真田は空条承太郎に似ているとおもうんだけど」
「は…?!」
「わかるわ!」
「帽子か、精市」
「そうだよ」
「安易だな!」
「それとまったく年相応に見えないことと…日本家屋に住んでいるところもよく似ているよ。ところで、おまえ、相撲はすきか」
「すきだが?」
「似ている」
「似てる!」
「なんなんだ!!」
「柳さん俺は? 俺は?」
「わあ。マンガずきな二年生が乱入してきたぞ」
「俺が喚んだんだ。あまりにこいつの漢字まちがいがひどいからな。ダブルスも組んだ先輩としては放っておけない」
「やっべええそんなことでよばれたなんて!」
「切原くんちっす!」
「あっはこさんだ!ちっす!」
「そうだ。せっかく来てくれたんだ、はこも赤也といっしょに書をやるか?」
「やるー!」
「うえーっぜったいつまんないっスよ!!貴重な休み時間があー!!」
☆
「あれはなんの図だろうな、ジャッカル」
「あれは両親とおばあちゃん、そして弟だな」
「柳がおばあちゃん!!」
ヤマなしのゆるゆるでしたがおつきあいありがとうございました!