• テキストサイズ

# 3104【気象系】

第2章 # 00008B







「なぁ。コレ、調子悪いみたいなんだけどさぁ
ちょっと見てくれよ」


後ろから声をかけられてハッとする


「ココに皺、寄ってる
まぁた難しい事考えてたんだろ?」


「そんなんじゃないよ
どれ? 貸してみて」


難しい事を考えていたわけじゃないけど、この時期になると特に色濃く思い出す

あ。エアーブラシが目詰まり起こしてる
だからたまには手入れしなよって言ったのに


「レンチとクリーニングロッド。それからラッカーシンナー持って来て?」

「あら? まさか俺、またやっちゃった?」

「そう。そのまさか。」

「だってさぁ。苦手だし、そーゆーの!
智のが得意じゃん。
それに俺、一度分解したら元に戻せる気がしねぇもん」

「それもそうだな」


持つべき物は手先の器用な相棒だな!と頭をグリグリされた


「んじゃ、宜しく♪」


道具の入ったケースを僕の目の前にドン、と置いて
自分は涼し気な顔してソファーに大の字になって座ってる
…まぁ、いいけど。





「なぁ、智」

「んー?」

「もうすぐ梅雨だな」

「…あぁ、そうだね」



「……あれから15年…か、」

「……」



…そう、あれから。

あの日、カズを騙して失踪してから15年の月日が経とうとしていた
/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp