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# 3104【気象系】

第2章 # 00008B


勝手に絵画教室を辞めさせられた僕は
絵を描きたい、と思う気持ちさえ失いかけていた

先生のことは別に嫌いじゃなかった
でも
時折見せるお面のような強張った笑顔には違和感を覚えた

クラスの子達も、絵は好きなんだろうけど
隣りのクラスの子達の様な輝いた瞳は持ち合わせていなかった
幼児クラスの頃は良かったんだ




“皆の好きなように
描きたいものを自由に描いてみましょう”




あのおばあちゃん先生は好きだった
僕が作った色を褒めてくれたから

しわくちゃの笑顔で笑ってくれたから







個人レッスンの先生が来る事になって
兄弟の勉強部屋の半分を絵を描く為のスペースにする事になった
物置小屋だった隣りの部屋を片付けて
二段ベッドの下半分をそっちに移し、弟のカズの部屋にした

前に壁や天井に付けた、光る星型のシールも
邪魔になるからと全部外されて。


カズと協力して、沢山貼ったんだ
星座盤を見ながら北斗七星や白鳥座、天の川も作った




“…コレ、何座?”


“うーんとね、ぎょうざ!”


“ふふっ。星座じゃないじゃん”


“え? そうなんだ…じゃあ、ダメ?”


“いいよ。カズのオリジナルの星座だね!”


“うん! ボクのおりじなるっ!”




カズがなかなか眠れない夜は
二段ベッドの上に呼んで、二人で並んで手作りの夜空を見上げた

季節がバラバラの夜空の中に一際目立つ “ぎょう座” は
僕とカズ、二人だけの秘密の星座になったんだ
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