第7章 # ∞
「兄さん?」
「…あぁ、」
「また会いに来てもいい?」
「…っ、当たり前だろ」
兄弟なんだから、ってそっぽを向いてギュッと唇を噛んだ
「照れてんなよ、智」
「うっ、うるさいっ!」
「実家の餃子、送りますね!」
「…うん、」
「じゃあ行こっか、カズくん」
駅のホームに消えていく二人の背中を見送ると
やっぱり少しだけ寂しくて
「泣いてんのか?」
「バカ、泣くわけないだろ」
だってまた会えるから
「幸せそうだったな、あの二人」
「…そうだな」
カズの照れた笑顔を思い出しながら帰路に着く
慎吾は不思議と何も喋らずに
ガタゴトと揺れる車内から、何処までも続く海をずっと見つめていた
「智も飲むだろ?」
「はぁ? こんな時間から?」
「いいじゃん、飲もうぜ」
昨夜もあれだけ飲んだくれたっていうのに
夕方のまだ早い時間から、慎吾がビールと昨日の残りのつまみを取り出した
「ハイ、カンパーイ」
「…カンパイ、」
もしかしたら寂しいのは慎吾の方だったりして?
賑やかなの、好きだもんな
ホントは無口な自分と居るのは苦痛だったりするんじゃないだろうか