第6章 # FFC0CB
「マジか…」
しょうちゃん、男、なんだって。
「なんか色々ビックリさせてごめん、」
「いや、良いんだけど…凄いな、って。
ノーマルな男がノーマルな男を好きになって想いが通じ合うなんて奇跡的な確率だろうにさ、」
相葉くんは一目惚れだったって言ってたけど、カズはどうなんだろうか
「兄さんは、」
「…うん?」
「居ないの? そういう人」
「居ないよ」
…恋人なんて居ない。
本気で人を好きになった事があるかすら怪しい
まだペンションと並行して海の家の手伝いをしてた頃、よく声はかけられた。
気分で付いていったりもした
「町田さんは?」
そう言えば慎吾とそういう話、した事無い
『智! 智! 今おっぱいメロンのおねーさんに逆ナンされてたろ!?』
『あー、うん、夜空いてるか聞かれた』
『じゃあ俺、あっちの桃尻ギャルとランデブーしてくるからさ!』
『ランデブーって…』
僕が女の人に誘われて夜出て行く時は
慎吾も同じ様にナンパして約束を取り付けてたっけ
どれも一夜限りだとは思うけど
城島さんと仕事をするようになって、お互いそういう事は自然としなくなった
僕の隣りにはいつだって慎吾が居て
それが日常の当たり前になっていたんだ
だからきっとその頃から
いや、その前から慎吾にも恋人と呼べる様な人は居なかったんじゃないかと思う