第6章 # FFC0CB
「餃子が凄く美味しかったの、覚えてる」
「ホントですかっ…! 今度送りますね、実家の餃子!」
帰るたびに両手一杯の手土産を持たされるんです、って笑いながら言ってた
また食べに来て、と言わないのは
相葉くんの優しさなんだろう
「いいなー! 俺の分もな?
あっ!達兄と茂さんにも食べさせたい!」
じゃあダンボールいっぱいにしますね!って笑顔で。
カズも同じ様に笑顔だった
…やっぱり餃子、好きなんだな
相葉くんちの、だからか?
子供の頃、天井に貼り付けた蛍光シール
カズオリジナルのあの“ギョーザ”はもしかして偶然じゃなかったのかな
全部、今に繋がっていたのかもしれない
「今度、ご実家にお邪魔しようと思ってるんだ
あれから…店の前までしか行けてなかったから」
すぐじゃなくていいから、いつかまた兄さんも一緒に、って言ってくれて救われた気がした
自分を殺して、カズを騙して失踪した
大きな傷を負わせた
その戒めの過去が赦されるのだとしたら
母さんを赦せずにいた自分自身も、赦せるのかもしれない
その時は…
「あぁ、いつかな」
いつか、きっと。また向かい合って餃子、食べようか
“懐かしいな”なんて笑い合いながらさ