第5章 # 000000
「メモにはなんて書いたの」
「あぁ…」
“真相は海の中に”
そう書いたんだ
「母さん、兄さんの手紙を直ぐには見つけられなかったみたい」
「だよな、」
絶対、分かりにくいだろうなとは思ったけど。
「でもちゃんと見付けたんだよね?」
相葉くんの言葉にカズが小さく頷いた
「俺がそのことを知ったのは4年前だけどね…」
「そっか、」
「…母さん、カズに執着しなかったか…?」
「してないよ」
「カズくん、」
「されてない」
相葉くんは何か言いたげに、だけど口をギュッと結んでカズに視線を注いでる
きっと
カズは何かを隠してるか…嘘をついてるんだと思う
僕が居なくなった後の事
それがどれだけ気になったとしても…すべてを捨てて逃げ出した僕にそれを知る権利は、無い
「兄さんは幸せだった…?」
「…え……?」
「離れて過ごしてたこの15年。
幸せだった?」
「……幸せだったよ、」
僕には慎吾や、達也さんや、城島さん
ペンションのおじさんおばさんも居たから。
「……カズは、」
「俺もちゃんと幸せだったよ
ハハッと笑って64、ってあながち嘘じゃないかもね」
そう言ってカズは微笑んだ