第5章 # 000000
「………そうだったか?」
「そうだよ。ボロボロ泣いてたじゃん」
「あー、もう、煩い! そんな昔の事忘れた!」
昔の事。
そう、もう昔の事なんだ
「人間なんて生きてりゃ色んな事あんだよ!
でも今笑えてんなら結果オーライだっつーの!」
呆れるくらいのポジティブ
それもいいのかもしれない
「そう言えばじぃちゃんも言ってました
人生を100としたら
シクシク泣いて4×9=36
ハハッと笑って8×8=64
泣くより笑顔の方がちょっとだけ多い、って
だから人生は捨てたもんじゃない、って」
「だろぉ〜?」
「はいっ!」
慎吾と相葉くんがやけに意気投合してて
そんな二人を僕ら兄弟はポカンと口を開けて見ていて、
「ほら! 智も笑え!」
「カズくんも!」
…この二人って、なんか似てる
兄弟だから、親友も似たようなタイプを選ぶんだろうか
「ふふっ」
「…カズ?」
「まーくんと町田さん、なんか似てるね」
全く同じ事をカズも思っていて。
「そうかぁ?」
「そうかな?」
重なる二人の声もやっぱり同じだった
おかしいかな
こんな事で、って思われるかもしれないけどさ
二人がそう言ってくれた事で
カズが笑ってくれた事で
“もう背負った十字架を降ろしてもいいんだよ”って
全てを赦された気がしたんだ