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# 3104【気象系】

第5章 # 000000


「兄さんが病院に運んでくれたの…?」

「…いや、」



カズを抱き抱えて辿り着いたのは灯台元の岩場だったはず
だけど、そこで力尽きた僕が次に目を覚ました時には別の場所にいたんだ





「俺だよ」


「町田さんが…?」





最後に幕張の個展を見に行く事は慎吾にも伝えていた
それだけだったのに、


「友情の力だ」


慎吾がニカッと笑って見せた


「理由を聞かれてもわかんないんだけどさ、呼ばれた気がしたんだよ」

「呼ばれた…?」

「智に、名前を呼ばれた気がした」


夕方になっても僕と連絡がつかない事に焦って
電車に飛び乗って




「前に智が話してくれたんだ
子供の頃に行った幕張の海のこと、」

「俺そんな話したかな…
それに、お前…! どんだけしつこく聞いてもあそこに居た理由言わなかったじゃん!」

「そうだっけ〜?」


しれっとしらばっくれたけど、あの後目が覚めた時慎吾がいて本気で驚いたんだ





『和也くんは大丈夫だよ。
怪我してるから、今は病院にいる』





それだけを伝えて、お前は。





『智が無事で良かった
ホントに、良かった…
お前にもしもの事があったら、俺……』



“二人で逃げようって言った事、悔やんでも悔やみきれない”
そう言って、泣いた

僕はこの時初めて
慎吾の泣き顔を見たんだ
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