第1章 # FFFFFF
それはまるで光の反射を表現している様で
仕上がった作品は僕にとっては大満足と言えるものだった
周りの大人たちは皆、内気な僕が個性を出せるようになってきたと喜んだけど
あの偶然のおかげで僕は
絵を描く事に大切なのは閃きだと気付く事が出来たんだ
『あ! イルカの子だよね!?』
絵画教室に向かう道の途中で
僕はいつかの少年に出会った
『ごめんっっ!!』
『え…?』
『あの時は、ごめんね
俺、気付いてたんだ
君の絵に触って色を付けちゃった事、』
あぁ、だからか
クラスに連れ戻される時、何度も僕の方を振り返って申し訳なさそうにしてたのは。
『君のおかげですっごいアイデアが閃いて、大満足の作品になったんだ
だから謝らないでよ』
『へ? 俺のおかげ、って?』
教室に向かいながら
実はね、ってその時の話をしたら
彼は嬉しそうにしてたっけ
『じゃあその絵は俺の絵でもあるって事だな!
君の絵は俺のもの!
俺のペイントも俺のもの!』
ジャイアンみたい、って二人して笑った
『名前なんて言うの?』
『大野 智だよ』
『俺は、慎吾!
町田慎吾!2年だよ!よろしくな!』
絵画教室で出来た初めての友達は
小麦色の肌と、一纏めにして留めた前髪が良く似合う同級生の男の子だった