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# 3104【気象系】

第1章 # FFFFFF


あれは確か…小学校二年の夏だったか





『すっげぇー! 絵、うまいね!』


白のTシャツに白の半ズボン…だったと思う、元の服の色は。
それを絵の具でカラフルに汚した同じ年くらいの男の子がキャンバスを覗き込んでそう言った


『コラ、慎吾くん!
お隣りのクラスの邪魔をしちゃ駄目じゃない!』

『先生、見てよ! サメだよ、サメ!』

『……イルカだよ、』

『え? そうなの?』


慎吾、と呼ばれたその子は
隣りのフィンガーペイントクラスからの脱走者で


『すみません、お騒がせしました。
ほら、慎吾くん。教室に戻るわよ』

『チェッ』


手をグイグイ引っ張られながら、彼は教室へと戻されて


『さぁ、続きを描きましょうね』


油絵クラスの先生は何事も無かったかのように
ニッコリと作り笑いを浮かべた






『あっ』

『どうかしたの?』


きっと彼の指先がキャンバスに触れたのだろう、海の青に白い点が付いている


『なんでもないです』


消してしまえば済む話だけれど
“そうだ、この点に…”


はた、と閃いた俺は
彼が付けた点の色と同じ # FFFFFF で
そこに放射線状の線を描き入れたんだ
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