第3章 # 800080
「へぇ。達也さんの友達の店の子の彼氏ね」
「らしーよ?
で、プレゼントする相手はその人の友達なんだってさ」
要するに。
達也さんの友達が東京で全く別ジャンルのお店のオーナーをしてて、そこに努めてる子の彼氏が友達にサーフボードをプレゼントしたがってて。
その事を耳にしたオーナーが達也さんの店を紹介してくれた、って事か。
「有り難いね、その達也さんの友達に感謝だ」
都会じゃ人間関係なんて気薄だと思ってたけど、そうやって会社の人間にプライベートを相談したりもするんだななんて感心していた
「ま、達兄の友達だからな」
「え?」
「面倒見がいいんだろ。
ほら、類は友を呼ぶって言うじゃん?」
なるほど、それなら納得だ
此処へ来た頃…達也さんは、まだ15歳だった僕達の親代わりもしてくれた
感謝してもしきれない
「納期、8月の頭でいいだろ?」
「慎吾が大丈夫ならいいよ」
「俺は大丈夫。
あー。それから、」
「うん?」
「郵送じゃなくて取りに来たいって」
「わざわざ東京から?」
「ネットで constellationシリーズ見て、実物を見てみたいって言ってたって」
「そっか」
この時はまだ知らなかったんだ
僕達のボードを一番見たがった人物が、注文者の恋人だという事を
そしてそれが…
僕の弟のカズだったという事も