第3章 # 800080
帰って早速仕事に取り掛かる為、僕は工房の隅にある作業スペースへ
慎吾は二階へ上がり、夕飯の支度を始めた
家事に関しては慎吾の方がずっと有能だ
此処に来て二人だけの共同生活を始めてからは炊事洗濯は慎吾の仕事になっていた
掃除はからっきしダメだから、それと洗い物は僕の仕事で
当番制じゃなく得意な方が率先してやればいいという慎吾の考え方に僕も賛同したんだ
開け放した窓から聞こえる換気扇の音と、そこから漂う良い香り。
グゥ…と鳴ったお腹を擦りながら、流れるような曲線のグラデーションと夜桜のイメージを形にしていった
「サトシー? メシ出来たぞ〜」
ペンを置くと同時に慎吾の声が聞こえて
「今行くー」
出来上がったばかりのデザイン画を持ってリビングへと上がった
「お。美味そう」
「美味そうなんじゃなくて、美味いんだよ!
友情たっぷりだから!」
「そうでした、そうでした」
今までだって、慎吾が作ってくれた物で美味しくないものなんてなかった
愛情の代わりに友情が沢山込められてるんだって。
「「いただきます」」
うん、やっぱり美味い。
親指を立てて Goodサインを出してやると
慎吾が嬉しそうに目を細めて微笑んだ