第3章 # 800080
「オーダーメイドの注文が入ったんだけどさ、」
constellationシリーズの初心者向けボードを取り置きした二人組を見送った後、達也さんがパソコンの予約画面を見せながら言った
「ベースが白から紫への曲線的で流れるようなグラデーションで、桜の花と花びらをあしらい…?
テーマは夜桜?? はぁ???」
「あぁ…なるほど。」
「智、コレでイメージ掴めたのか!?
はぁ〜…俺にはチンプンカンプンだ…」
人それぞれ得意分野があるんだから気にすんな。って達也さんに慰められて、慎吾がスネたように口を尖らせた
「デザイン起こしてみますね。
出来上がったらデータ送ります」
「あぁ、ヨロシクな」
「チェッ! なんだよぉ〜
つーかさ!夜の色と言ったらサトシブルーだろ!
なんで紫なんだ!」
「このお客さんの言ってる“紫”は #800080じゃなくて、薄桃色の桜の花とマッチするような、強いて言うなら…」
「あー、もういい!いい! 分かったよ、今のは俺が悪かったですぅ!」
もう忘れて!なんて
僕はただ、色の説明をしようとしただけなんだけどな…
「お前ら長年一緒に居過ぎて夫婦漫才みたいだな」
「「はぁっ!?」」
達也さんの思わぬ言葉にギョッとして、思わず顔を見合わせた
「ぷっ…。ゴメン、嘘、嘘」
あ、また笑い堪えてるし…