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# 3104【気象系】

第2章 # 00008B


『智が急に絵画教室辞めちゃうからさ
俺、すっげー寂しかったんだ』

『…ごめん、』

『でもいつか絶対また会えるって信じてた。

ウチさ、あれから父ちゃんと母ちゃん、離婚して
母ちゃん家出てっちゃってさ
父ちゃん再婚して、弟が出来て…』

『……』

『…俺、こんなだから新しい母さんに煙たがられててさ
父ちゃんも見て見ぬふりだし
なんつーか…居場所、無いんだ』



自分の事のように
キリリと胸が傷んで



『…もしかしたら、智もなんか抱えてんじゃねーかな、って
今日会って、なんかそんな気がして、

だから、』




栗色の瞳に真っ直ぐに見つめられて
咄嗟に嘘をつく事さえままならなかった




『四国に従兄弟が居るんだ』

『四国…?』

『海の近くでサーフショップやってる』

『サーフショップ…』


『中学卒業したら四国に行こうと思ってさ』

『え…?』







『俺と一緒に逃げないか、智』










逃げる事は恥ずかしい事だと思っていた
逃げたら負けだと

正しい事をしたければ逃げずに戦って偉くなればいい

偉くなれば
あのおじいちゃん画家の様に
有無も言わせず好きな事が出来るんだと





『智、』





僕は、






『なぁ、』






僕は何を迷ってるんだ







『……………しょ、に…』

『何? もう一回言って』








『………一緒に、連れてって…』
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