愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第5章 一栄一辱
智side
僕の手の中で徐々に質量と硬さを増していく塊に、優越感を感じた。
僕が‥僕自身が、この暴君とも言える男を翻弄している‥そう思っていた。
でも、それは僕の思い違いだったと、裾を割って忍び込んで来た手が太腿を擽られた瞬間、気付かされた。
「あ、まって‥っ‥」
溢れた雫に濡れた薄い繁みに指が絡み、僕は咄嗟に身を捩って逃れようとするけど、焦れた身体はそれすらも許さず‥
「お前は‥他の男の物を弄ぶだけで、身体を濡らすのか」
「ち‥違う‥‥それは‥」
この上ない侮辱の言葉に否定をしながらも、熱を帯びた部分に触れられたくて堪らない身体は、その先の刺激を求めて揺れ動き、呼吸が乱れる。
屈してたまるか‥
どうにかして快感を逃そうとするけど、敢えて茎には触れず、その裏の柔らかな部分を揉まれた瞬間、床に着いた膝は崩れた。
「‥やめ‥て、お願い‥っ」
懇願しながら、当てなく彷徨う手で男の着物の袖を掴む。
でも男はそれすらも愉しんでいる様子で‥
僕の後孔の周りを指で掠めては、唇の端を少しだけ上げてニヤリと笑った。
悔しい‥
この男が与える快感に逆らえない、この身が恨めしい‥
それなのに僕は‥
「‥っ、はぁっ‥ん‥そこばかりはっ‥」
男の手を溢れる雫で濡らしながら淫らに腰を揺らし、そしてとうとう堪えきれなくなった僕の手が、ふうふると揺れる茎へと伸びた。
冷たい床に背を預け、鎖で繋がれた足を開くと、一切の感情を表さない視線を感じながら、手の中で溢れる雫すら止められないでいる茎を、ゆるゆると扱き始めた。
見たければ見ればいい‥
お前が僕を欲しがるまで、僕は何度だって見せてやるさ‥
僕は片手で茎を扱きながら、腰を少しだけ浮かせると、もう一方の手を後孔に宛がった。
唇を固く結び、その奥へと指を押し入れようとした、その時だった。
「クッ、ククク‥、お愉しみは終わりだ。私は夕食に降りねばならないのでな」
男が徐に腰を上げ、乱れた着物の裾を合わせ、軽く叩いた。