愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第5章 一栄一辱
潤side
「‥どうやらお仕置きの意味が、まだわかっていないようだな。」
着物の下で、妖しい欲望を掻き集めようとする未熟な手を好きに遊ばせておくと、俺を満足させることができたかのように思い、その先の快楽を強請ろうとする目に冷たい言葉を浴びせかけた。
俺は裾を肌蹴けさせた白い両腿の間に手を入れると、何もつけてない下腹部の繁みの傍を指先で擽ぐる。
「あ、まって‥っ‥」
熱くなってきたその中では、自分の物と同じ程までに膨らんだものが、淫欲の雫を溢していた。
「お前は‥他の男の物を弄ぶだけで、身体を濡らすのか。」
「ち‥違う‥‥それは‥」
ほんの一瞬、怯えたような影を映す瞳。
それでも弄られる指に肝心の物には触れてもらえず、淫らな欲にばかり身体のなかを掻き乱されているかのように、切なげな息を洩らしはじめる。
赤く熟れたような唇を薄く開く男は、浅い吐息で快感を逃そうとするが‥
「‥‥抗えまい‥」
その下に手を伸ばして、柔らかい袋をゆっくりと揉みしだいてやると、短い嬌声を上げて俺の方へと身を崩した。
「‥やめ‥て、お願い‥っ」
‥もっとだ‥‥
泣いて‥縋れ‥
俺の着物の袖をぎゅっと握って仰け反る喉元の美しさに‥一瞬見惚れた。
こんなものではない‥
「くくっ、辛かろう‥‥。さあ、どうする?」
ゆっくりと動かす手の先で、後孔にまで届かないあたりを掠めてやれば、欲に踊らされた身体が絶え間無く鎖を鳴らしまう。
俺という鎖に捕らえられた美しい獲物は、隠し切れない妖艶さを纏いはじめていた。
「‥っ、はぁっ‥ん‥そこばかりはっ‥」
「欲しがるものをくれてやっては、仕置きの意味をなさないだろう。」
乱されたい身体は、快感を弄ぶ手にだらだらと淫欲の雫を零し続けて‥そこにさっきまで俺の物に悪さをしようとした小さな手が、そろりと添えられようとしていた。
‥苦しかろう‥
欲するがままに男を受け入れてきた身体に、それを与えてやらないのだから。
言い知れぬ感情が俺のなかを支配してゆく。
その甘い毒の味を教えたのは、目の前で身悶える美しい獲物。
お前が‥俺のなかに眠っていた、もう一人の獣物を呼び起こしてしまったんだ。