愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第3章 兎死狗烹
性急な手付きで釦を外し前を開くと、何の反応も示さない膨らみに指の先を触れさせ、布越しに唇を寄せた。
「なるほど・・、面白い。やってみるがいい」
男は僕の前から離れると、二人がけの椅子に、腕を胸の前で組んで座った。
下衣を開け放った両足を大きく開いて・・
僕は中に挿れた指はそのままに、這うようにして男の股の間に身体を割り込ませると、男の塊を覆う布を少しずらし、力なく垂れたその根元を握り込み、その先に舌先を這わせた。
さも物欲し気に瞳の奥を揺らしながら・・
そしてゆっくりとその塊を口の中へと招き入れた。
「ぐっ・・」
途端に口の中に広がる男の味と、鼻を突く男の臭いに、吐き気が込み上げる。
「どうした?慣れているんだろう?雅紀にしてやったみたいにすればいいだけのことだ。今更無垢な振りなどしても無駄だぞ?」
男の手が、僕の額に張り付いた髪を鷲掴みにし、僕を無理矢理に上向かせる。
「それとも・・、ここで終わりにするか?」
雅紀さんは、僕にこんな行為(こと)を強要したりはしなかった・・
あの人は純粋に僕を・・・・
それにここまで来て終わりになんて・・
出来るものか・・!
僕は口一杯に頬張った男の塊に、たっぷりと唾液を纏わせた舌を絡め、唇を窄めては時折吸い上げるようにして動かした。
「ほう・・、やれば出来るじゃないか。だが‥まだまだ足りないね‥‥」
顎を伝う唾液を掬い、僕の口から自身を引き抜くと、僕の肩を押して床に倒し、投げ出した両足首を掴んだ。
「残念ながら俺をその気にさせることは出来なかったようだが‥。ここまで敢闘したからには、褒美をやらねばな?」
唇の端を僅かに上げて笑い、指を舐るその顔に、背筋が一瞬で凍りつく。
怖い‥‥
そう思ったのも束の間、唾液をたっぷりと纏った指が、僕の後孔に突き入れられた。
「ひっ‥‥!」
息が詰まる程の痛みと、そして隙間なく埋め込まれる圧迫感に、腰を捩って逃れようとするけど、それも叶わず‥‥
「許し‥て‥、後生です‥から、も‥‥、あぁぁっ‥‥」
遠のきかける意識を、唇を噛んで引き留めることしか、僕には出来なかった。