愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第13章 雲外蒼天
あとがき
最後まで『愛慾の鎖』をお読みいただき、ありがとうございます。
翔、雅紀、潤を担当しました咲子です。
舞台は明治末期から大正にかけてのお話でしたが、時代の雰囲気はお楽しみいただけましたでしょうか?
西洋文化に傾いていく時代
古くからの文化や習慣の残るなか、少しずつ新しい風が吹いてきて、それとともに価値観なんかも変化していく。
人の愛し方や表現の仕方も今とは随分と違った筈。
色んなことを考えながら、執筆しました。
まずは翔くんですが…
彼はとても素直な人でしたね。
家庭環境が複雑な中、あれだけ素直で優しい青年に成長できたのは、やはり潤に守られていたからなんだろうなぁと思います。
最初の方にあった乗馬のシーンは、兄弟としての絆を感じるような場面になればと考えていました。
そんなのんびりと育ったお坊っちゃまな翔くんも、智と出会うことで大人の階段を少しずつ登っていって。
精神的にも成長していけたのではないかと思います。
彼を描くのは、とても楽しかった!
素直ですから(笑)
色んな意味で伸び伸びと描くことができました。
素敵な青年になって、智と幸せな人生を歩んで欲しいなぁと思います。
次に雅紀さん
彼は潤と同級生で、翔くんたちより7歳年上。
かなり大人な雰囲気での登場でしたね。
幼い頃の智を保護して、10年近く手元で置き、愛し続けました。
雅紀にとっての智は本当に大切で、ガラスケースにでも入れて飾っておきたいくらいの存在でした。
なのに突然の裏切りにあってしまい、狂いそうなほどの恋情に身を焦がします。
でも、彼のすごいところは、智を恨まなかったところでしょうか。
そしてその傷を癒してくれた和也の存在に救われて…
切なく苦しい愛に別れを告げ、優しく包み込むことで愛を表現できる人になりました。
大人な彼が、物語の中で歳若い3人を諭す場面が幾つかありますが、そこは私自身が自分の子供に伝えたいなって思ったことも含めて書いたような気がします。
雅紀さんは生涯、和也を大切にしていくことでしょう。