愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第3章 兎死狗烹
智side
触れれば触れるほどその膨らみを増す中心‥
未だかつてない程の屈辱を受けているというのに‥
「俺が欲しいんだろう‥?」
いらない‥、お前などいらない‥‥!
唇で許しを請い、心で叫ぶのに‥
なのに抗うことの出来ないこの身体が恨めしい‥
絶望しか感じないのに、それなのに更なる悦楽を求めて、僕の手は下衣を締め付ける釦を外し、淫らに雫を垂らす昂ぶりを外気に晒すと、そこに手を添えた。
「‥あっ‥はぁっ・・あ‥‥っ‥」
だらしなく開いた口元からは、一時たりと止むことなく吐息が零れ、ゆるゆると動かす手に合わせて、身体を仰け反らせながら、腰を揺らした。
男の目の前で‥‥
自慰を強要されながら‥
小鳥の囀り(さえずり)さえも耳に届かない程に無心に‥‥
そして、
「もう‥だめぇ‥‥ああっ‥ゆるし‥て‥」
制御することすら出来ずに高まって行く射精感に、一瞬痙攣したかと思うと、身体がびくんと跳ね上がり、握り込んだその手を熱い欲の塊が汚した。
弛緩した身体を投げ出し、荒く乱れた呼吸を整えるその唇を、男の指が撫でて、耳元に唇が寄せられる。
「‥どうした・・これでお終いか‥?」
耳の奥を刺激するような低い声に、一瞬は忘れかけていた甘い疼きが再び目を覚ます。
「‥お願い・・抱いて‥っ‥苦しいのっ‥‥」
身体の奥で蠢く疼きをどうにかしたくて、僕は縋るような思いで男を見上げた。
でもその視線は交わされ、
「君は本当に‥いけない子だね。‥‥簡単に男を惑わそうなんて思うから、こんな目にあうんだよ。そうやって雅紀も誑かしたんだろう?」
知ってる‥?
この男は僕が近づいた目的を、知っている‥?
いや、そんな筈はない。
これまでだって上手くやれてた筈だ。
それにこれからだって‥
なのに何故こんな仕打ちを‥‥
僕はこの時になって漸く自分の愚かさに気付いた。
男なんて皆同じ‥なんて侮ってはいけなかったんだと‥