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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第13章 雲外蒼天


和也side


久しぶりだから…

寄宿舎に入ってしまったら、今以上雅紀さんに会うことが難しくなる。

きっと夜な夜な愛しい人を想って胸を焦がすことになるだろうから…

だから焦らされたくないのに…

「意地悪…。私をこんな風にしておいて…、雅紀さんの意地悪…」

不意をついて出た言葉と同時に、俺の腰を抱いていた手を寝巻きの中に引き込んだ。

「責任…とってくれますか?」

しっとりと濡れた目で雅紀さんを見上げる。

すると思いがけず零れた笑みに、俺の心臓がまるで太鼓でも打ち鳴らすかのように鼓動した。


ああ…、この笑顔だ…
この太陽のような笑顔が、全てを包み込んでしまうような笑顔が、俺は一番好きなんだ。


「やれやれ、困った子だ。和也の目には、私が責任の一つも取れない、ぞんざいな男に写っているのかい?」

「い、いえ、そういうことではなくて…、その…」


ああ、どうしよう…
俺が堪え性がないばかりに、雅紀さんを怒らせてしまった…


自分の愚かさに睫毛を伏せた、その時だった。

「く、くくく…、冗談だよ? だからそんな顔をしないでおくれ?」

「冗談…ですか…」


なら良かった…


胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は別の感情が湧き上がってくる。

「あ、もしやまた私をお揶揄いに…? 私が雅紀さんを怒らせてしまったんではないかと、肝を冷やしたのに…。もう…、雅紀さんなんて…」


知らない…


そう言ってしまえたら、この胸の高鳴りは治まるのだろうか…

ううん…、雅紀さんを想っている限り、きっと永遠に続くんだろうな…


「“雅紀さんなんて…”、その続きは?」

言葉の先を急かすかのように、俺の茎を握った意地悪な手がゆるゆると上下を始める。

「言わないなら、ずっとこのままだが…、それでも和也は良いと?」

「いや…っ…、焦らさないで…」

「なら言っておくれ?“雅紀さんなんて…”の続きを…」


どうして…?
今夜の雅紀さんは、どうしてこうも意地悪なの…?


なのに、その眼差しは俺を揶揄うでもなく、真剣そのもので…


俺は雅紀さんの寝巻きの襟を開くと、そこに頬を擦り寄せた。

「和也は、貴方を…雅紀さんを、この先もずっとお慕いして参ります。だから私をどうか雅紀さんのものに…」
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