愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第1章 愛月撤灯
雅紀side
愛おしい‥なんて愛おしいんだ‥。
私の手で守り‥愛しみ‥‥
幼さの残る柔らかな曲線の美しい身体の指先にまで、知りうる限りの愛情の全てを注いできた。
その幼く純粋な‥哀しみを宿した瞳に、攫われるごとく心を奪われたあの日から‥‥
愛を渇望し縋るような瞳を私に向けてくれる君を、この手で愛した。
青白い月の光が薄く射しこむベッドの上で、
「‥いけない僕を許して‥雅紀さんのことをこんなにも‥好きになってしまって‥」
情欲が何たるかも分からず濡れた瞳を揺らし、肌蹴た寝間着の衿もとに私の手を導いた君。
未知の世界への不安と期待に震える指先で、私の頬に触れたあの夜。
私は危うくも美しい君の身体に溺れてしまった。
そして今も‥‥
揺れる馬車の中で、火照る身体が求めるままに淫らに喘ぐ君は、滾る私の塊をその柔らかな双丘の間に埋め、禁断の果実を味わうがごとく腰を揺らす。
「‥雅紀さん‥あつい‥っ、僕の中が‥‥」
「ああ‥なんてことだ‥‥こんなにも私を惑わせて‥」
肌蹴たシャツは辛うじて肘のところで止まり、しっとりと汗ばんだ白い背中を私の目の前に晒しながら、湧きあがる快感に打ち震えている。
背中越しにまだ薄い繁みの中で雫を零す智の欲情の証を包み込むと、ゆるりとそれを愛しむ。
「ああっ‥いけませんっ‥‥そこまでは‥」
小石を弾きながら駆ける馬車は大きく揺れ、弾んだ智の身体を引き寄せると、更に深く繋がり、智は堪らない喘ぎを洩らし続けた。
「もっと啼くがいい‥私のために‥‥」
‥‥私だけのために‥
「‥許して‥いけない僕を‥‥ああっ‥‥」
柔らかな胸の小さな果実を摘み、緩く捏ねてやると君は歓ぶことを知っている。
できることなら唇で摘んであげたいのに‥
「こんなに濡らしてしまって‥本当に悪い子だ‥」
与えられる快感のすべてを享受し、その中に溺れていく君を見ていると、私の心は満たされていく。
穢れを知らない君を私の手の中で‥
この先もずっと愛しむことができるのなら
どんなことも厭わないだろう。
「‥貴方が‥‥好きだから‥‥」
快楽に染まった君のその言葉は、また私を後戻りできない甘美な世界へと導いていった。