愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第1章 愛月撤灯
智side
車輪が小石を弾く度、時折吹き付ける強い風に煽られる度、僕の身体に打ち込まれた楔が深く突き刺さって、
「・・雅紀さん・・あつい・・っ・・僕の中が・・・・」
激しく喘いでは、喉元を仰け反らせ、もっともっと・・と強請る様に腰を揺らした。
肩から滑り落ちたシャツが晒した背中に、男の熱を帯びた視線を感じながら・・・・
「ああ・・なんてことだ・・・・こんなにも私を惑わせて・・」
不意に背中から伸びた手に、まだ薄い繁みを掻き分けて、劣情に満ちた欲の塊を包み込まれると、
「ああっ・・いけません・・・・」
ゆるゆると愛しむ様に撫でるその手を、尖端から零れた雫が濡らし、月明かりの下、宝石の如く光り輝かせた。
だらしなく開いた口からは、益々艶を帯びた声が溢れ出し、もう止めることすら出来なくて・・
「もっと啼くがいい・・私のために・・・・」
耳元で囁きかれる低い声と、吹きかかる熱い吐息に、僕の身体も・・感情さえも支配されて行く。
「ああ・・許して・・いけない僕を・・・・ああっ・・・・」
抗うことの出来ない快感の渦に身を委ねる僕を・・・・
成す術もなく堕ちて行く僕を・・・・
「・・貴方が・・好きだから・・・・」
罪を重ねる僕を・・・・
許して・・
薄ぼんやりとした灯りに、固く閉じていた瞼をゆっくり開く。
霞んだ視界に映ったのは、僕の髪を優しく撫でながら、心配そうに僕を覗き込む雅紀さんの顔で、
「ここ・・は・・?」
僕はいったいどうしてしまったの?
弛緩した腕を持ち上げると、その頬に指先を触れさせた。
「私の部屋だよ?まさか・・覚えていないのかい?」
問いかけに、小さく頷いて応えると、雅紀さんの唇が降りてきて、僕の額にそっと触れた。
「驚いたよ。激しく身体を痙攣させたかと思ったら、突然糸の切れた操り人形のように倒れてしまったんだから・・」
そうか・・、僕は気を失って・・・・
本気で気をやるつもりなんてなかったのに・・
「済まなかったね、君に無茶をさせてしまって・・・・」
「そんな・・、謝らないで?元はと言えば僕が・・・・」
そう、誘ったのは僕・・
貴方は何も悪くない。
もし貴方に罪があるとしたら・・
それは僕を愛してしまったこと・・
それだけだから・・・・