愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第3章 兎死狗烹
どうして‥
どうしてこんなにも身体が火照る‥
ともすれば隙間風さえ吹き込んできそうな場所なのに、熱くて貯まらない‥
「あ、あの‥、これは一体‥‥」
荒くなる呼吸に胸を抑えながら、隣で優雅に器を傾ける男の手を掴んだ。
「言わなかったか?葡萄で作った飲み物だ、と‥」
「そ、それはそうですけど‥。あの‥」
熱い‥
熱くて堪らない‥
身体の奥が‥疼く‥‥
「おや、どうしたことだ、そんなに顔を赤くして‥。熱でもあるのかい?」
男の手が伸びてきて、僕の額にそっと触れたその瞬間、僕の身体にまるで稲妻の様に強い刺激が走って‥
僕は咄嗟に自分の身体を両腕で抱き締めた。
なのに‥、
「くくく、君は本当に可愛い子だね?雅紀が大事にしていたわけだ」
耳元で囁きかけられた瞬間、僕は自ら男の首に両腕を巻き付けていた。
「お願い‥、熱いの‥、熱くて堪らないの‥」
誘うように唇を薄く開き、舌先を突き出した。
「ほう‥、で、君は俺にどうしろと‥?」
「抱いて‥?僕を‥、抱いて‥?」
誰でもいい‥、この身体の疼きを鎮めて欲しかった。
それなのに男はゆっくりと僕の腕を解くと、僕の身体を白い布が敷かれた台の上に押し付けた。
妖しい光を放つ双眸が僕を見下ろす。
そして唇の端を歪めて、
「君の願いに応えて上げたいところだが、生憎俺にその趣味はなくてね?‥‥ただ、どうしてもと言うのなら、俺をその気にさせてみるがいい。出来るだろう、君なら‥」
僕の額に口付けを一つ落とし、、男の身体が離れていくのを、僕は熱に浮かされ潤んだ視界の中で見ていた。
なんて男‥‥
怒りにも似た感情に心を震わせ、それでも抗いきれない淫らな欲望に、僕は手を震わせながらシャツの釦を外し、肌蹴た胸元に手を差し込むと、硬く尖った小さな実を指の先で摘まんだ。
「あっ‥、あぁぁっ‥‥」
甘い刺激に、喉元が仰け反る。
でも、足りない‥‥
もっと‥もっと強い刺激が欲しい‥‥
僕は下衣の上から中心を握ると、熱くなり始めた中心をゆるゆると撫でた。