愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第11章 海誓山盟
こんなところを誰かに見られたら‥
僕は咄嗟に翔君の腕から抜け出て、布団を頭から被った。
でも翔君は別段慌てた様子もなく、
「心配ないよ」
布団の上から僕の頭を撫でると、床に落ちた寝巻きを拾い上げ、それを無造作に羽織って寝台から降りた。
そして足音すら気にすることなく扉に駆け寄ると、
「構わないよ、入っておいで?」
扉の向こう側に小声で言った。
扉が開く音を、僕は布団の中で身体を丸めて聞いていた。
誰‥
誰なの‥?
近付いてくる足音に、自然と身体が震える。
「智、大丈夫だから出ておいで?」
翔君に言われても、僕は首を振るだけで‥
「やれやれ、仕方ないね?」
無理矢理布団を剥ぎ取られそうになり、僕は必死でふ布団の端を掴んだ。
その時、
「智さん‥」
聞き覚えのある声が僕の名を呼んだ。
「智さん、俺です‥和也です」
和‥也‥?
本当に‥?
僕は勢い良く布団跳ね除けると、何も身に纏っていないことも忘れ、その場に飛び起きた。
「和也‥、ああ、和也‥会いたかった‥」
薄ら目に涙を浮かべ僕を見下ろす和也に、僕は堪らず飛び付いた。
「僕が頼んだこととは言え、ずっと気がかりだったんだ‥。良かった‥無事で‥」
「はい、この通り‥」
「雅紀さんに大切にして貰ってるそうだね?翔君に聞いたよ?」
見上げた和也の顔が真っ赤に染まる。
元々色白だから、すぐに分かる。
「え、ええ、まあ‥。あ、そんなことより坊ちゃん、そろそろ澤さんが起きて来る時間です。急がないと‥」
「もうそんな時間か‥。まだまだ智とこうしていたいのに‥」
僕もだよ、翔君‥
出来るならずっとこうしていたいよ‥
「お気持ちは分かります。でも今は堪えて頂かないと‥」
「うん、わかってる‥。今は堪えるしかないんだよね?」
翔君が悔しそうに唇をきゅっと噛む。
僕はその姿が見ていられなくて、和也から離れると、翔君の背中に腕を回し、和也が見ているのも厭わず唇を重ねた。
「翔君、僕待ってるから‥。翔君を待ってる‥」
いつまでだってずっと‥