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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟


翔君の言葉を信じてないわけじゃないけど、急にそんな顔されたら僕、どうして良いのか分からないよ‥


「ごめんね‥、やっぱり嫌だよね、僕なんて‥」


雅紀さんに抱かれ、翔君の兄でもある潤にまで‥

僕自身ですら嫌悪してしまうんだから‥


僕はそっと翔君の腕から抜け出すと、翔君の手を両手で包んだ。

「ありがとう、翔君。もう十分だよ」


こんな僕を好きだと言ってくれたその気持ちだけで‥

それだけでもう‥


「ち、違うんだ、智‥。そうじゃなくてさ‥、その‥、さっきの続き‥したいなって‥」

「えっ‥?」

「だ、だからさっ‥、さっきはおれも初めてのことで驚いてしまって、智を突き放すような真似しちゃったけど、やっぱりおれ智のこと‥智と一つになりたいんだ」

「本気‥なの‥?」

うん、と頷いた翔君の顔は、燃え盛る暖炉の炎よりも赤くて‥

僕は包み込んだ翔君の手を引き寄せると、その指先に唇を落とした。

「も、勿論、智が嫌だって言うなら‥おれ‥」

「嫌‥なんかじゃない。僕も翔君と‥」


もし翔君がこんな僕を望んでくれるなら‥
翔君が求めてくれるなら‥

「一つになりたい‥」

「本当に?本当にいいんだね?ああ、嬉しいよ智!」

顔に満面の笑みを浮かべて翔君が僕に飛び付かんばかりに抱きついてくる。

そしてその勢いのまま僕の身体は押し倒されて、ぱっと目を見開いた時には、いつもと違う‥雄の顔をした翔君が僕を見下ろしていて‥

僕は胸がどくんと大きく跳ね上がるのを感じた。


なんだろう‥

今まで何度となく抱かれて来たのに、こんな感覚初めてかもしれない。


「智‥、好きだ‥」

「僕も‥、僕も翔君が好き‥」

お互いの思いを確認して唇を重ねる。

触れるだけの口付けなのに、それだけで心が‥身体が震える。

「智、おれ初めてだから下手くそかもしれないけど笑ったりしないでおくれよ?」

「うん‥、笑ったりしない‥」

お互い含羞んだ笑顔を浮かべ、再び唇が重なった。
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