愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第11章 海誓山盟
「安心して‥?おれたちが必ず兄さんのところから連れ出して上げる」
「本当に‥本当にそんなことができるの?」
どうしても信じられなくて見上げた僕の顔を翔君の手が包み込んで、知らず知らず僕の頬を伝った涙をその指が掬ってくれる。
ねぇ、それは危険なことじゃないの?
「うん、皆んなで協力してね‥、おれの誕生日の祝宴の時に隙をみてって計画してるんだ」
「翔くんの誕生日‥、もうすぐだよね‥?」
「覚えててくれたの‥?」
当たり前だよ‥。
忘れられっこない‥。
あの時はまだ翔君がとても大人びて見えて、だから絶対年上だと思っていたのに‥
まさか年下だったなんて‥、とても驚いたことを覚えてる。
「おれもびっくりした。智がすごく幼く見えたっていうか‥、可愛いなって思ってたから」
「可愛い‥?僕が?」
翔君が僕のことをそんな風に‥?
こんなにも身も心も穢れた僕を‥、可愛いって‥?
「ごめん‥、怒った?」
ううん、違うんだ‥
そうじゃないんだ‥
「そんな風に言われたことなかったから、びっくりしただけ」
嬉しかっただけ‥
こんな僕をそんな風に思ってくれる人がいた、ってことが嬉しかった。
ただ年下の翔君に言われるとは思ってもなかったけどね?
「うん、やっぱり智は笑ってた方が断然いいよ」
えっ‥?
「あっ‥僕‥」
気付けば僕は自然と笑っていて‥
そっと肩を抱き寄せた翔君の腕の中で、僕の全てを包み込んでしまうような笑顔の翔君を見上げた。
するとどうしてだか翔君の顔が真っ赤に染まって、絡んでいた視線を不意に逸らした。
「翔‥君‥?」
どうした‥の‥?
「あの、さ‥、智?その‥、なんて言うか‥」
急に口籠ってしまった翔君に、僕はほんの少しの不安を感じた。