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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟



「優しい人だよね‥雅紀さん。和也のこともすごく大切にしてくれるし」

「和也を‥?」

「うん、宝物みたいに扱ってるよ」

「そう‥‥雅紀さんが和也のことを‥」


智は視線を落とすと小さく息を吐いて

「二人は‥幸せ、なの‥?」

少し震えた声でそう聞く。


智と雅紀さんの間にも‥特別な関係があったのは知っていたから‥


「うん、見てるおれが恥ずかしくなるくらいにね」

って‥今の雅紀さんは幸せなんだよって、教えてあげたかった。

すると智は

「よかった‥」

心底安堵したようにそう呟いて。

「雅紀さん‥すごく情の深い人だから‥」

まるで遠い昔を懐かしむように言った智は、すぅっとひと筋涙を流した。


色々‥あったんだろうな‥

何年も一緒にいた人だもん‥


おれは智が昔を思い出し涙を流すのが、不思議と嫌じゃなくて。

寧ろ、あんな懐の深い人の傍で大切にされてきたからこそ、今の智がいるんだって、そう思えた。


「だから安心して‥?おれたちが必ず兄さんのところから連れ出してあげる。」

「本当に‥本当にそんなことができるの‥?」

顔を上げた智は半信半疑な声で‥でも縋るような瞳でおれを見つめる。


「うん、皆んなで協力してね‥、おれの誕生日の祝宴の時に隙をみてって計画してるんだ」

「翔君の誕生日‥、もうすぐだよね‥?」

「覚えててくれたの‥?」

「うん‥だって、翔君が年下だって知ってびっくりしたから」


そうだった‥


おれは智のことを年下だと思い込んでて、キャンディを口に入れてあげたんだった‥。

あの日からまだ、ふた月と経っていなかったんだね‥。


なのに、もうずいぶんと前のことのような気がした。


「おれもびっくりした。智がすごく幼く見えたっていうか‥、可愛いなって思ってたから」

「可愛い‥?僕が?」

年上の智を可愛いなんて言ってしまって、それを聞いた彼は目を丸くして。

「ごめん‥、怒った?」

慌てておれが謝ると、智は少し笑って

「そんな風に言われたことなかったから、びっくりしただけ」

って、やっぱり可愛いなって思う笑顔を見せてくれた。



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