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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟


智side


憎い…

憎くて憎くて…あの男に関わる物全てをこの世から抹殺してしまいたい!

なのに僕の過去を知って尚、僕を好きだと言ってくれる君を悲しませたくない‥


僕は一体どうしたらいいの‥?


両親の仇をとること‥、その思いだけが今まで僕を突き動かして来たのに、その決意さえ揺らぎそうになる。


どうして、こんなにも好きになってしまったの‥?

好きになっちゃいけないって分かっていた筈なのに‥

だからこそ今まで誰にも心を見せることなく、虚像を演じて来たのに‥


なのにどうして!


僕と一緒にいれば、きっと君は不幸になる。

君を泣かせることになる。


だからその前に僕が終わりにするんだ。


「‥好きだから‥‥翔君のこと、好きだから‥、巻き込みたく‥ない‥‥」


だからもう僕のことは忘れて‥


堪えていた物が‥閉じ込めていた感情の全てが涙となって頬を伝い落ちていく。

僕は肌蹴た寝巻きの襟を直して、ゆっくり翔君の側を離れた。

「分かったらもう行って‥?これ以上翔君の側にいたら僕‥君を殺してしまうかもしれない‥」


いっその事翔君を殺して僕も‥

そうしたら少しは楽になれるのかな‥


「いいよ、殺してよ‥。智の気がそれで収まるなら‥、おれを殺すことで智が救われるなら、おれはそれでもかまわないよ?ほら‥」

僕の両手に翔君の手が重なる。

そして引かれるまま翔君の首に僕の両手が巻き付いた。

「おれさ、智の前では強い振りしてたけどさ、実は凄く怖がりなんだ。苦しいのだって好きじゃないし‥。だからさ、一思いに殺して?」


僕の手に重なった翔君の手に力が入る。


嫌だ‥


自分の手がぎりぎりと音を立てて翔君の首を絞めて行くのが分かる。


嫌だ‥

嫌だ‥


「いやっ‥!嫌だ嫌だ嫌だ‥!」

翔君の顔からどんどん色が消えて行く。

「離してっ!お願いだから‥、分かったから‥だから‥っ‥」


もうやめて‥
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