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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟



やたらと引き出しの中に手を入れることができなくて‥

それでも目を皿のようにして見たけど、それらしいものは何処にも見当たらない。


他に大切なものを仕舞う場所って‥


書棚も上から下まで見るけど引き出しなんてものはあるはずもなく、残るは寝台の横にある猫足の小さな机だけ。

あの小さな机の引き出しにあれば‥


最後の望みを賭けて持ち手を引いてみたけれど、中には写真が数枚あっただけでそれらしきものは見当たらなかった。


「どうしよう‥、何処にもない‥」

おれはこの部屋の何処かに鍵があるものだとばかり思っていたから、それが見当たらないってだけで慌ててしまう。


何処に仕舞う⁈

家中の鍵を‥一体何処に‥‥


自分だったらって思うところを探し尽くして‥もう一度部屋を見回すと柱時計の二本の針は近いところにあって‥

‥‥まずい!

気がつけばかなりの時間が経っていて、そろそろ昼の給仕をするために皆んなが食堂へと出入りを始める頃だった。

もう時間切れだ‥


おれは鍵を探すのを諦めて木扉のところまで戻ると、薄く隙間を開けざっと視線を走らせて‥誰もいないと見るや自分の部屋へ駆け戻った。


もう一度‥

‥‥もう一度、行って‥


再び部屋を出ようとしたけど、それでも見つけられなかったらって思うと木扉を開けることができなかった。


「くそっ‥、何処に仕舞ってあるっていうんだ!」

おれは苛立ちに任せて思いきり木扉を叩く。


おれだって‥智を助け出すために何かしたいのに!


悔しくて‥歯痒くて‥‥

でも会いたくて‥‥

握り締めた拳をぶつけるところが無くて‥


おれたちを隔てている壁際に駆け寄ると

「‥智!ごめん‥おれ、何にもできなかった!助けてあげたいのに!」

力任せに真っ白なそれに拳をぶつけた。


何度も‥何度も‥‥


「会いたいのに!智に会いたい‥のに‥」

届かないってわかってるのに‥そう叫けばずにはいられなかった。


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