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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟


翔side


和也を遣いに出してから、じりじりと焦れるような時間(とき)を過ごしていたけれど、昼時を過ぎた頃、漸く待ち人が戻ってきた。


帰ってきたなりの格好で部屋に入ってきた彼は、遅くなってすみませんでしたって頭を下げると

「言付けはちゃんと雅紀さんにお渡しして参りました。」

って、おれを少し安心させてくれた。

「よかった‥、ありがとうね、和也。で、雅紀さんはなんて仰ってた?」

おれはその労をねぎらいつつも、その先の返事が気になって、ひと心地も吐かせない勢いで畳み掛ける。


すると和也は

「数日のうちに、また潤坊ちゃんを外に連れ出してくれるそうです。でも、恐らくこれが最後になるかもって‥。あまり不自然にお誘いすると妙な疑念を持たれかねないって。」

浮かない表情(かお)で、雅紀さんの言付けを伝えてくれる。


「そっか‥、そうだよね‥。じゃあ、その時にちゃんと話さなきゃってことだよね。」

「はい‥‥、で‥後、鍵のことなんですが‥」

「鍵‥?兄さんの部屋の鍵のこと?」

その事は和也に任せっきりにして申し訳ないとは思っていたけれど、てっきり彼がどうにかしてくれるものだとばかり思っていた。

だから一体何のことだろうと首を傾げて。


「その‥鍵なんですけど、実は旦那様が屋敷中の鍵を持ってらっしゃるから、もしかしたらその中に潤坊ちゃんの部屋のものもあるかもしれないんです。」

和也は怪訝そうな表情(かお)をするおれに言いにくそうに話す。

それが一体どうしたっていうのだろう‥。


おれは彼の言いたいことの意味が分からずに返事に困ってしまう。

「確かに‥父様はこの屋敷の主人だから持ってても不思議じゃないんだけど‥。」

だからなんだっていうんだろう‥


「あの、その鍵をですね‥、翔坊ちゃんが持ち出せないかって‥。その‥澤さんが肌身離さず持ってる一本を持ち出すより、たくさんの中から持ち出す方がわかりにくいんじゃないかって。」

ついっと顔を上げた和也は、迷いながらも‥可能性の一つをおれに話してくれた。


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